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複合材料の構造部アプリケーションへの利用が加速

複合材料の構造部アプリケーションへの利用が加速

6 February 2019

Raj Mathur(ラージ・マートゥル)

グローバルR&Tマネージャー Advanced Thermoplastic Composites

どんなに小さな違いでも、自動車の軽量化は低燃費に貢献します。金属を置き換えるには、強度、動作温度、様々な薬品や環境への耐性、量産可能性、スクラップの削減、リサイクル性、そして設備更新コストといった様々な条件を満たすために、モノリシック素材から複合材に目を向ける必要があります。

連続繊維強化プラスチック(Continuous Fiber Reinforced Plastic、CFRP)複合材料には、様々な用途で使われた長い歴史があります。航空宇宙業界で始まり、今では熱硬化ポリマーをベースとして一般的に利用されています。しかしながら、自動車業界においてはこの素材群は相対的に新しいものとなっています。というのも、業界のリーダー企業が、複合材料サプライチェーンの不透明さを主な理由として、これらの素材への投資に二の足を踏んでいるためです。さらに、自動車用途に求められる素材条件は多岐にわたり、コストとサイクルタイムが特に重要視されます。業界全体が、様々なタイプの電気自動車の導入を通してコネクテッド・カーの方向性に向かっており、素材に求められる条件もまためまぐるしく変化しています。

このことから、一つの素材が全ての仕様に最適化するのは、極めて難しいことがわかります。だからこそ、DSMは自動車用途において数々の試験プロジェクトを過去5年に渡って実施し、金属を代替する性質や、費用便益費について究明してきました。これらの試験により、自動車の軽量化は、単に金属を複合材料に置き換えるだけの問題ではないことがわかりました。その代わり、私たちは、複数の素材を効果的に活用し、乗り心地と安全性を損なうことなく自動車の重量を下げることに重点を置いています。

このアプローチにおける基本的な構成要素は、一般的に一方向テープ(Unidirectional Tape, UDテープ)と呼ばれるCFRPです。私たちが占有する製造工程では、ポリマー樹脂押出し技術を使っており、ガラス繊維と炭素繊維で補強した熱可塑性プラスチックのリボンやテープを、幅は最大1m、長さはお好みの長さで使うことができます。私たち独自の製造工程により、低温汎用ポリマー、ポリプロピレン(PP)から、ポリフェニレン・サルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高温エンジニアリング・ポリマーまで、多様な樹脂素材の加工が可能となります。

私たちの最終目標は、自動車全体の重量を減らすことです。そのためのアプローチには、サプライチェーンとの技術提携を築くことも含まれます。それによりOEMとTierにおけるエンドユーザーに、グローバルなソリューションを提供することが可能になるのです。こうした技術提携によって、私たちはUDテープを中間生産物に加工することもできます。例えば、サイクルタイムが数時間でなく、数分しかかからないラミネートが挙げられます。これは業界の期待により大きく応えるものです。そしてさらにこの加工法では、3軸や6軸の機械やホットプレスなど、この業界で広く利用されている設備が確実に使えるため、設備投資も最小限に抑えられます。中間生産物は、ラミネートが最終的な部品の形に熱成形される最終製造工程に、キット形態で供給されます。射出成形業界では一般的なオーバーモールドも付されることがよくあります。

私たちは、3つの一般的な製造工程、すなわち、テープの巻き取り、金属複合材料のハイブリッド・ファブリケーション、そしてテープの自動積層(ATL)において、UDテープをもとにした複数素材アプローチのテストを行いしました。さらに、金属インサートやメタルUDテープ・ハイブリッド、UDテープのノンクリンプ織物への織り込み、有機シートのような複合材料よりも広く表面を覆える直交積層などのテストも行いました。全ての素材と組み合わせは、トルクと耐疲労性を含む様々な負荷条件の下でテストされました。素材カードは、シミュレーション研究を円滑にするためにご利用いただけます。

ある用途では、より軽く、より強いスチール製ホイールを開発しました。そこではガラス繊維補強されたUDテープが3つの重要な箇所で使われ、ホイールリムが50%細くなり、重量が60%となっています。放射状の疲労テストでは、標準のスチールホイールよりも疲労寿命が30%伸びました。一つのホイールにつき、普通乗用車では2kg、そして商用トラックでは6kgの重量を軽減しました。 

貴社のアプリケーションにおいて、UDテープがどのようにして軽量化に役立つか、こちらから今すぐお問い合わせください。

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著者について

Raj Mathur(ラージ・マートゥル)

グローバルR&Tマネージャー Advanced Thermoplastic Composites

Raj Mathur(ラージ・マートゥル)は、素材科学および工学の博士号とエグゼクティブMBAを修了しています。彼の先進素材に対する関心は、エンジニアリング・アプリケーションにおけるイノベーション・マネージメントの幅広い分野を牽引しています。彼は、航空宇宙と自動車を含む多様な業界分野で特許を持っています。現在、彼は高度熱可塑性プラスチック複合材(Advanced Thermoplastic Composites)のグローバルR&Tマネージャーを務めており、急速に進化し続ける自動車部門において新たなクラスの素材を作り上げることに尽力しています。

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