より安全で、より速く、より費用対効果の高い協働ロボットは、主要な産業に変革をもたらしています。協働ロボットは、現場での需要の高まりに合わせて今後ニーズが拡大すると予想されています。安全性と効率性は協働ロボットが産業用途で拡大していく上で重要な要素です。既存の金属材料では製造時においても安全上の課題があり生産スピードの面でも制限があります。軽量な樹脂を代替材料として使用することは、安全性のリスクを低減するだけでなく、製造費用、生産性、そしてサステナビリティの観点でもメリットがあります。
人間と並行して作業を行う協働ロボット(Collaborative robotics)は、現場での採用が急拡大しています。この動向は特に農業、食料生産、物流、医療サービスなどの産業においての自動化の価値向上により牽引されています。協働ロボットは時間のかかる作業を高速化することに加えて、単調で汚れやすく、危険かつ緻密さを求められる作業も行います。さらに、労働人口の高齢化による人手不足の解消にも貢献します。世界の協働ロボット市場は、6年間で年間43%の伸び率を誇り、2027年までに100億ドルを超える価値があると予想されています。
これまでさまざまなロボットアーム部品が高い耐久性を持つ金属材料から作られてきました。しかし、これらの部品は製造コストが高く、潜在的に有害な化学物質を使用した二次工程を必要とする場合があります。金属製のロボットアームは、その重量により作業場で重大な傷害を引き起こすリスクもあります。
生産コストの低減と最終製品の安全性向上を図るために、協働ロボットメーカーは高性能な熱可塑性樹脂ソリューションを活用し、事業の成長に取り組んでいます。高性能な熱可塑性樹脂は特に、最も急速に成長しているセグメントである10kg未満のペイロードを取り扱うように設計された協働ロボットの部品として適していると考えられます。
射出成形で容易に射出できる高品質なポリマーは、協働ロボットメーカーにとって30%までのコスト低減の可能性を秘めています。射出成形では本質的に非線形の変動コスト構造となるためです。また、協働ロボットは、耐久性、柔軟性、寸法安定性、熱的および電気的耐久性など様々な要件を有する多数の小型で複雑な部品から作られています。これらすべての構成部品には、耐久性があり軽量で持続可能性のある素材が必要です。
熱可塑性樹脂は、協働ロボットメーカーの主要な部品の軽量化の実現に貢献します。また、これらの材料は、人間との協業による協働ロボットをより安全なものにすることに加え、作動エネルギー効率を改善することによって装置をより高速に作動させることを可能にします。
DSMエンジニアリングマテリアルズ は、最終部品の機械的性能を損なうことなく、金属に代わる特別に設計された材料によるソリューションを提供します。高い流動性と優れた成型性により、部品の重量を20~30%軽量化できる射出成形プロセスに最適な材料を提供します。
一方向テープのようなDSMの熱可塑性コンポジット材のソリューションは、金属と比較して約50%の重量を低減でき、同等の剛性および製造コストを実現します。DSMエンジニアリングマテリアルズのUDea™は連続長繊維を使用した熱可塑性樹脂との複合一方向テープで、様々な樹脂によるラインナップを取り揃えています。ガラス繊維や炭素繊維を一方向に配向させ、マトリクス樹脂にはDSMの高度なエンジニアリングプラスチックスが使用され、金属やその他の材料との複合材としてオーバーモールディングの用途にも優れた材料です。
製品のサステナビリティが購入意思決定において非常に重要な要素となっていることに伴い、より環境にやさしいソリューションの提供が協働ロボットメーカーの大きな競争優位性をもたらす要因ともなります。DSMエンジニアリングマテリアルズは、植物由来またはリサイクル由来の材料による製品を上市しており、2030年までには全製品群で植物由来、またはリサイクル由来の材料による製品を上市します
設計仕様や生産プロセスにあまり適していない材料に投資すると、追加の設計が必要になる可能性があり、その結果、財務上の損失や製品の発売の遅れを招くことになります。DSMエンジニアリングマテリアルズは、お客様のニーズに合った素材を見つけるお手伝いをさせていただきます。私たちの持つ材料のポートフォリオは、構造材、ギヤドライブ、電気モーター、センサー、コネクター、ケーブルジャケット、グリッパーなどの生産に最適なソリューションを提供します。
DSMエンジニアリングマテリアルズは材料の選定をサポートするとともに、製品開発のあらゆる段階において部品の疲労寿命を予測する最新技術などを使用し、より設計の時間を短縮させ部品の早期承認に貢献します。
また、私たちは協働ロボット部品の信頼性を最大にするため、繊維の配向や、ゲート、ウェルドラインの位置などの短期および長期部品性能に影響を及ぼす要因を市場での実績のあるCAEを駆使して評価し、お客様をサポートします。また、私たちはサプライヤーの成型のための型のセットアップや、部品生産、妥当性確認プロセスを最適化するサポートを行い、さらなる時間とコストを削減ができるように貢献します。
私たちの役割は材料の供給だけにとどまりません。コスト効率が高く軽量で、サステナブルな協働ロボット部品の需要により早く対応すべく、パーツ設計、適合性確認、製造工程における総合的なサポートを提供します。
数十年もの間、自動車、電気・電子機器メーカーのサステナブルな事業の成長をサポートしてきたDSMエンジニアリングマテリアルズは、材料ソリューション、用途、設計の知見を駆使して協働ロボット市場の成長に貢献していきます。
協働ロボットの材料ソリューションの詳細については、当社の にお問い合わせください。
Advanced Development Manager Mechatronics at DSM Engineering Materials