しかしながら、これらの技術は、衝撃吸収性能の低さ、重量増加、コスト増加といった欠点があり、成功は限定的なものにすぎませんでした。
しかし今、非空気入りタイヤ(NPT)が「再発明」されつつあります。そして、DSMのArnitelによって従来のタイヤに引けを取らない性能が提供されます。これは、ポリエステルとポリエーテルのブロック・コポリマー系の熱可塑性プラスチック・エラストマー・ポリマーおよび化合物シリーズです。Arnitelは、従来のゴムより軽量で環境に優しく、環境に対するインパクトを軽減します。
非空気入りタイヤは、車輪とタイヤの機能をひとつのコンセプトにまとめたものです。これは典型的には、車軸とのインターフェイスとなる金属製の中心ハブと、弾性のArnitel「ウェブ」構造と、外側のゴムスレッドから構成されます。
建設、農業、特殊車両業界の顧客をもつタイヤメーカーにとって、これはどういう意味をもつでしょうか。従来のタイヤの代わりに非空気入りタイヤを用いることで、顧客はメンテナンス費用とパンク修理に伴う非稼働時間を削減することができます。
更に、特に悪路で利用される時など、すぐに摩耗する従来のタイヤとは異なり、Arnitelは最大で3倍もの使用寿命を実現します。これに加えて、非空気入りタイヤは使用中の衝撃エネルギーをより良く吸収するため、悪路での乗り心地がよりスムーズになります。顧客にとっての他のメリットとしては、より硬質のゴム製トレッド表面とエネルギー吸収性Arnitelウェブとの関係を最適化するための設計により、乗り心地を損なわずに耐磨耗性を改善し、路面の傷みを低減することが挙げられます。
Arnitelは、その優れた機械的性能(弾性疲労耐久性、高荷重特性、優れた耐動的クリープ性、高い引裂き抵抗と耐摩擦性、高い衝撃強度)から、非空気入りタイヤ用途に最適です。Arnitelのこれらの機械的特性に温度特性を合わせると、幅広い温度範囲(-30~+100°C)、極低温の延性(<-40°C)、温度変化に対して安定した弾性率など、考え得るあらゆる気象条件で一貫した性能を実現することができます。追加のメリットとして、良好な耐候性、耐化学薬品性、耐加水分解性、抗菌性が挙げられます。