様々な種類の充電ケーブルにより、世界で1年間に約45トンのE-wasteが生み出されています。このE-wasteを削減するため、さらには充電標準規格があまりに多すぎることによるフラストレーションと、より高機能を求める消費者需要を解決するため、各国政府とメーカーにより1種類のコネクター標準規格「USB-Cコネクター」が定められました。USB-Cには明らかにメリットがありますが、リスクもあります。トラッキング現象が生じる可能性が増大し、火災を引き起こす可能性があるのです。
標準規格を1つにすることには、数多くのメリットがあります。USB-Cコネクターは従来のケーブルよりも高性能で、しかも便利です。コネクターは表裏の区別がなく、使用がずっと簡単になります。しかも、1つの規格で済むということは、製造されるケーブルの数が少なくて済むということであり、究極的にはE-wasteの削減につながります。
充電ケーブルのテクニカルデータを詳しく見てみると、USB-Cコネクターのピッチサイズは0.18 mmという驚異的な寸法に縮小され、印加電圧は20ボルトに増加しています。これはピン当たりの駆動電流に影響を与えます。駆動電流が大幅に増加し、トラッキング現象のリスクもこれに伴って増加します。
トラッキング現象の原因は多くの場合、汚染です。モバイル機器を衣服のポケットに入れているときや、水分・汗のある環境に機器が置かれているとき、粒子や破片でコネクターが汚染されます。トラッキング現象によりコネクターに短絡が生じ、過熱を引き起こし、最終的に火災となる可能性があります。
こんなシナリオを考えてみましょう:ある主婦が、自分の電子機器を一晩充電します。機器はノートパソコンやタブレット、携帯電話などです。機器を木製のテーブルの上に置きます。家族全員が隣の部屋で寝ている間に、火災が起こります。家が全焼する可能性もあります。
このシナリオは、可能性のある大惨事のひとつです。多くのOEMが積極的にコネクターハウジングの素材を探している理由もここにあります。業界の誰もが、このような事態が起こって欲しくないと考えています。OEMは低CTI材料を禁止し、Tier 1とコネクターメーカーすべてに対し高CTIポリアミドを使用するよう要求するようになっています。高CTIポリアミドはトラッキングのリスクを低減し、コネクター内部の信頼性を高めます。
DSMのStanyl PA46は、600ボルトを超える最高のCTI値を提供するだけでなく、0.18 mmまでUL94-V0仕様を備えた耐高温性ポリアミドとして唯一の素材です。この0.18 mmとは、USB-Cコネクターに使用されるピッチサイズと同じです。
この材料は磨耗と摩擦が最も少なく、例えば最高20,000回もの嵌合サイクル(プラグイン/プラグアウトのサイクル)が指定されている苛酷な自動車環境においても、劣化なしに耐えることができます。また最高の流動性を提供するため、成形業者とコネクターメーカーにとっては、生産性向上と製造コスト削減という付加価値が得られます。
Stanly PA46は受け側・機器側にとって最良の材料であるだけでなく、ケーブルのプラグにも素晴らしい材料です。よって、このトータルな嵌合ソリューションは、信頼性が高く、OEMが安全性を確保することができます。
このトピックについての詳細は、USB-Cコネクターのビデオをご覧ください。
Stanyl PA46の特性の詳細やテストサンプルのご請求は、こちらにお問い合わせいただくか、plasticsfinder.comからテクニカル・データシートなどの追加情報をご確認ください。