DSMエンジニアリングマテリアルズ

ja_JP

軽量ながら頑丈な電気自動車用の水素燃料タンクをいかに作るか

2018年 12月 3日
  • Dr Tamim Peter Sidiki(タミム・ピーター・シディキ博士)DSMエンジニアリングマテリアルズ、グローバル・マーケティング・ディレクター(エレクトロニクス)

業界のエキスパートの多くは、今後20~30年で内燃機関をベースとする自動車は姿を消すと考えています。テスラのように電気自動車市場に積極的に参入するパイオニア企業も少数ながらありますが、ほとんどのOEMは今も内燃機関を搭載する自動車を生産しています。それらのOEMは、内燃機関を搭載する自動車から得た収入を電気自動車の技術革新や新しいモビリティコンセプトを開発する資金に充てています。というのも、世界はコネクテッドカーや自動運転の時代に移行しているためです。移行段階として、自動車メーカーは、燃費の向上、ならびに CO2とNOx排出量の低減を目指し、燃焼性能を向上した内燃機関と電気のハイブリッド自動車技術を作り続けています。

完全な電気自動車への移行において、多くの自動車メーカーは、動力源としてリチウムイオンバッテリー(LiB)を頼りにしています。その一方、主に日本、韓国、ドイツを拠点とするOEMグループは、水素燃料電池という選択肢を模索しています。おもな理由としては、100%中国に依存することを避けたいという地理的・政治的な現実と、燃料電池技術自体が魅力的なものであることなどが挙げられます。水素燃料ステーションの設置を加速させている企業アライアンスは競争上の優位性を獲得するでしょうが、未来の電気自動車は両方の技術に依存するものになることが予想されます。

燃料電池の効率はLiBに遅れを取っていますが、燃料電池技術には次の利点があります。

  • 重たいバッテリーを燃料電池スタックに置き換えることが可能
  • 燃料電池はLiBに比べ最大6倍の速さで充電可能
  • 燃料電池は航続距離がより長い(ただしLiBの航続距離も急速に延びてきています)
  • また、主に中国とチリから調達され、電気自動車業界全体をサポートするのに十分な供給は不可能である可能性のあるリチウム、ならびに3分の2がコンゴ共和国で調達されているコバルトへの依存からの脱却が、燃料電池によって可能になります。

水素インフラストラクチャーの構築に向けた道を切り拓くため、これまでに既に多数の企業アライアンスが発表されています。ヨーロッパでは、シェルがドイツのヴェッセリングに世界最大の水素生産施設に投資しており、2020年に操業を開始する予定となっています。同時に、2023年までにヨーロッパに400の水素燃料電池ステーションを設置することを目指している合弁企業もあります。日本では、ある合弁企業が、2025年までに300の水素燃料ステーションを設置することを目指しています。米国では、あるパートナーシップが、2021年までに米国の輸送ルートに3,000kmの航続距離を持つ40トンの重量トラックの自動車群を導入することを目指しています。さらに中国では、同国の最新の五ヶ年計画において、2030年までに中国に3,000の水素燃料電池ステーションを設置する目標が示されています。

燃料電池技術は、水素が空気からの酸素と反応して水蒸気、熱および電気を生成するときに動力を作り出します。他の手段で生成された電気を貯蔵するバッテリーと異なり、エネルギー生成源を恒久的に車両に搭載するため、燃料電池で駆動する自動車のバッテリーのサイズは大幅に縮小することができます。この技術に関する一つの懸念は、700バール以上の内圧に耐えられる大型のタンクで水素を輸送する必要があることです。水素燃料電池タンクは従来スチール製であるために非常に重いのです。しかし、エンジニアリング・プラスチックを用いれば、軽量の水素ガスタンクを作ることができます。

DSMは、Akulon®ポリアミド6(PA6)製のブロー成型インナーライナーとEcoPaXX®ポリアミド410(PA410)テープ製の外部複合構造材を組み合わせた、軽量の圧縮天然ガス(CNG)タンクを既に発売しました。インナータンクは蒸発による水素の漏れをなくす一方、外部複合構造材は水素貯蔵に不可欠な高破裂圧力から保護します。この組み合わせによるソリューションは、競合の芳香族ポリアミドの性能を上回る、-40°Cから85°Cまでの温度で優れた機械的性能を発揮します。水素との適合性が非常によく、より高い破裂圧力、よりよい経済性により、競合素材を上回ります。また、このソリューションは完全にリサイクル可能です。

軽量ながら頑丈な電気自動車用の水素燃料タンクの設計に関する詳細につきましては、こちらからホワイトペーパーをダウンロードしてください。

このサイトはクッキーを使用し、お客様のコンピューターに情報を保存しています。

詳細はこちら x