各ライフステージでの免疫および栄養の役割

ヒトの免疫系は、年月とともに多くの変化を経験します。母親から分け与えられる免疫機能に頼る幼少期から、免疫系が弱まる高齢期に至るまで変化してきます。予防接種や衛生管理などの対策は、免疫系を保護するのに役立ちますが、感染リスク、重症度、期間を減らすために最適な免疫力をサポートする本質的な方法もあり、この点では栄養が重要な役割を担います。

免疫系は特定の栄養素をいくつか必要としますが、それらの栄養素は合わせて健康的な免疫機能を支えるものとなります。その栄養素とはビタミンA、B6、B12、C、D、E、葉酸、そして亜鉛、鉄、マグネシウム、銅などのミネラルです。これらの栄養素を食事で摂取することが理想的ですが、推奨される摂取量は一般の人が消費できる量よりも高いことが多いです。研究ではサプリメントでの栄養介入で栄養不足を解消できることが明らかにされており、免疫系がこれまでになく直面している課題に打ち勝つため、免疫機能を効果的にサポートするソリューションへのニーズが高まってきます。ただし、体が必要とするものは各ライフステージで異なることを理解することが重要です。そうすることで免疫力のサポートに効果的に働くように、各年齢層に最適な摂取量を確保することが重要です。

幼少期における免疫のビルディングブロック

生まれた時の免疫系は未熟ですが、いくつかの成熟因子にさらされながら、時間をかけて発達・成熟していきます。新しい食品、病原体、予防接種など、新しい抗原に触れる機会を増やすことで、乳幼児期の間に免疫力を高めることができるのです。学校に行くようになるころには、子どもの免疫系は感染にさらされることで成長しており、健康的な免疫反応と防御機構を提供するのに役立ちます。

幼少期の免疫系を支える栄養サポートとなると、その成長に重要な役割を担うのは母親です。生まれる前は胎盤機能から、生まれた後は母乳から子どもの免疫を支えます。これは乳幼児の栄養の黄金標準とされています。サプリメントは母親が子どもに人生の始まりに最適な免疫力を与えられるようにする一般的な方法です。例えば、ビタミンDサプリメントを日々摂取することで血液の血清値を高め、急性呼吸器感染症の発症率を低下させます。Cochrane Reviewでは、少なくとも500mgのDHAが早期早産や早産のリスク低減に関連することが立証され、別の研究でもDHA摂取による免疫力向上効果が述べられています。

子どもの免疫系は最初の防衛線であり、最近のDSMの調査では、0～16 歳の子どもを持つ親にとって、免疫力は健康上の懸念事項の第 1 位でした。¹ 子ども向けには、ビタミンD、C、B6、B2、銅、亜鉛、鉄などの必須ビタミンやミネラルを含むグミ、ジュース、ミルク、ヨーグルトが免疫強化製品として人気があります。

成熟：免疫系はどうなるか？

完全に成熟して機能するようになると、ウイルスやアレルゲンに対して迅速かつ効率的に反応することができるようになります。大人は、過去に病原体に触れたり、ワクチンの助けを借りたりして、時間をかけて免疫の「記憶」を作り続けています。ただし免疫の反応は固定されません。そしてストレスや睡眠など、さまざまな生活習慣の結果、大きく変化します。

最適な免疫系を支えるため、大人は全体的な健康促進かつ免疫防御を高める健康的な食品や飲み物を求めるようになっています。免疫と同じように、エネルギー量、目の健康、可動性の維持も大人の健康上の懸念のトレンドになってきています。これらの健康上の懸念を理解することで、懸念に対応する栄養成分を活用した滋養ジュース、コーヒー、ミルク、エナジードリンクなど飲みやすくておいしく、不可欠な栄養サポートを提供できる、消費者に魅力的な製品の開発に役立ちます。

年を重ねるということはリスクも高まるということ

高齢期になると、新しい細胞を生み出す量が減って機能が落ち、免疫系も低下してくるため感染やアレルギーのリスクが高まります。高齢者はまた炎症も重症化します。これは、免疫系の弱まりによるものです。そのため、病気にかかりやすく、入院の頻度が高くなり、その結果、抗生物質の使用量も増えてしまうのです。そうすると、抗生物質に対する耐性ができ、さらに感染症にかかりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。また、抗体反応が低下しているため、予防接種の効果も以前ほど期待できません。