「Project LIBERTY」 先進型バイオ燃料生産工場を稼働

「Project LIBERTY」 先進型バイオ燃料生産工場を稼働

農業廃棄物からバイオエタノールを生産。米国初の商業化。 85-95%の温室効果ガス削減、雇用創出、エネルギーの安全性改善

ライフサイエンス及びマテリアルサイエンス企業であるDSM社は、世界最大手のエタノール生産会社POETとの合弁会社「POET-DSM Advanced Biofuels, LLC」を通じ、農業廃棄物を原料とする先進型バイオ燃料(セルロース系エタノール)の商業生産を開始しました。9月3日(水)より、米国初となる商業規模の生産工場「Project LIBERTY」(以下、LIBERTY。米国アイオワ州・エメッツバーグ)を稼働しています。年間で2000万ガロンを生産する予定で、将来的には2500万ガロンの生産を目指します。

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再生可能エネルギーであるセルロース系エタノールは、一般的なバイオエタノールと違いトウモロコシの非可食部等廃棄されていたものを原料とするため、農業廃棄物問題の軽減だけでなく、食料供給問題との競合の心配も ありません。ガソリンと比較して温室効果ガスを85-95%削減できるとともに、「LIBERTY」全体で年間28万5,000トンの農業廃棄物を利用できます。非可食部の利用にはDSMの酵母技術が活かされており、食料  廃棄物からの再生可能エネルギー生産にDSMのライフサイエンスとマテリアルサイエンスが融合した”Bright Science”が大きく貢献しています。

DSMとPOETが協力することで成功したこの度の商業化は、限りある資源を消費する化石燃料の時代から、 再利用され廃棄物が存在しない再生可能エネルギーの時代へ移り変わる、歴史的な一歩です。同時に、企業の垣根を越えて知識・技術を共有する新しいイノベーションのあり方が地球規模の課題を解決しうることを示す、重要な事例であると考えています。

【Project LIBERTYの概要】

資本金

2億7,500万ドル

セルロース系エタノールの年間生産量(予定)

2,000万ガロン

LIBERTY生産のセルロース系エタノールの特徴

ガソリンと比較し、85-95%の温室ガス削減

農業廃棄物の年間購入量(予定)

2,000万ドル分 ⇒農業者への追加収入

農作地における農業廃棄物の排除量

1エーカーに対し約1トン (25%相当)

農業廃棄物年間消費量(予定)

28万5,000トン

 

年間2,000万ガロンのエタノールを生産し、一日最大770トンの農業廃棄物の加工が可能です。将来的には、生産量を年間2,500万ガロンに引き上げる予定です。農業廃棄物収集の際には、農業者へ費用が支払われ、雇用促進を含め立地地域等に利益が還元 されます。なお、POET-DSM Advanced Biofuels, LLCでは、バイオエタノールとライセンス収入により、2020年までに累計2億5,000万ドルの純売上高が見込まれています。

【セルロース系エタノールの生産方法】

再生可能エネルギーであるバイオ燃料「セルロース系エタノール」は、トウモロコシの芯や葉、茎など作物が収穫される際に発生する農業廃棄物を基に生産します。農業者が不要としているトウモロコシの農業廃棄物を集め、非 可食セルロースを30種の酵素と酵母で糖分に分解し、その糖分を微生物によりバイオエタノールへと変換します。

この独自のバイオ燃料生産技術は、ライセンス化し世界的に広めていく予定で、セルロース系エタノールの開発が より一層促進され、世界のエネルギー問題の解決に少しでも貢献することを期待しています。

【ジョイント・イノベーション:LIBERTY稼働への道のり】

POETとDSMの合弁会社をつくることで、自社技術と外部の持つ技術やアイデアを組み合わせて、革新的な商品やビジネスモデルを生み出すという新しいイノベーションを実現し、1つの企業だけでは解決できない社会問題に 対するソリューションを生み出す手段を作り出しました。

7年前、DSMとPOETは別々に再生可能エネルギーである先進型バイオ燃料生産の技術開発に取り組んでいました。当時、この技術は実現不可能と言われていましたが、互いに他社よりも卓越した技術と知識を備えていたDSMとPOETは、2011年に提携し、セルロース系エタノールの生産に取り組みはじめました。その後、米国政府の支援などを受けながら、3年に亘る研究を経て、新時代への大きな一歩となる商業生産工場「LIBERTY」の連続稼働を開始する運びとなりました。

「LIBERTY」初稼働日には、Willem-Alexanderオランダ国王を始め、Tom Vilsack米国農務長官、Michael Knotekエネルギー省副次官、Terry Branstadアイオワ州知事、Kim Reynoldsアイオワ州副知事、他多くの来賓にご出席いただき、祝辞をいただいています。

DSM社CEO兼取締役会長Feike Sijbesma(フェイケ・シーベスマ)のコメント;

化石燃料の時代から再生可能エネルギーの時代へと移り変わる中、ガソリンの代用品となる農業廃棄物をベースにセルロース系エタノールの商業生産が可能となった歴史的な日です。私たちはセルロース系エタノールのライセンスビジネスに力を入れており、本工場で使用されている農業廃棄物からバイオ燃焼を商業生産するDSMの技術は、ライセンス化を通じて世界的に利用が可能です。DSMにとって、本工場は戦略的な投資です。

POET創設者兼代表取締役会長Jeff Broin(ジェフ・ブロイン)氏によるコメント;

セルロース系エタノールを「空想の燃料」と呼ぶ人もいますが、今日をもって、それは現実の燃料となりました。新たなエネルギー源へアクセスが可能になったことで、「Project LIBERTY」は私たちの経済、環境、国の安全に変革を もたらす第一歩となりえることでしょう。

<参考資料>

POET-DSM Advanced Biofuels, LLCについて

POET-DSM Advanced Biofuels, LLCはDSMとPOETの50%ずつの出資による合弁会社です。米国、南ダコタのスーフォールズ(Sioux Falls)を拠点に、POETのバイオ精製施設と同じアイオワ州エメッツバーグに商業生産工場を構えて、トウモロコシの非可食農業廃棄物をセルロースバイオエタノールに変換する生産方法を商業規模で 行っています。本事業と合弁会社は、バイオ燃料生産に関し、豊富な知識と高い専門性を持つPOETとDSMの2社の努力により実現したものです。今日の米国のバイオ燃料において大半を占めるトウモロコシ(可食部)バイオ エタノールと同程度にまでセルロースエタノールのシェアを高めるという、非常に重要な使命を背負っています。そこで、 トウモロコシの廃棄物をセルロース系バイオエタノールに変換する技術を、パッケージとしてライセンス化し、世界的に広めていく予定です。詳細は www.poetdsm.com をご覧ください。

POETについて

POETは世界最大手のエタノール生産会社の一つで、効率的で一貫された生産方法によりバイオ精製の技術発展に率先して取り組んできました。創設から25年の歴史をもち、27の生産拠点ネットワークを保持しています。年間で16億ガロンを超えるエタノールと、90億パウンドの高タンパク質動物用飼料の生産能力を誇ります。DSMとの合弁事業を通じ、アイオワ州エメッツバーグにおいて商業規模のセルロース系エタノール生産工場を運営しています。詳細はhttp://www.poet.comをご覧ください。

 

DSM – Bright Science. Brighter Living.TM

DSM社は、科学をベースとして健康、栄養、材料分野で活躍しているグローバル企業です。ライフサイエンスとマテリアルサイエンスにおける独自の技術を組み合わせることで、経済的繁栄、環境問題への取り組み、そして社会の発展を促進し、DSMと関わる全ての人々にとって持続可能な価値を創造します。また、DSMは食品や栄養補助食品、  パーソナルケア、飼料、ファーマシューティカルズ、医療機器、自動車、塗料、電気・電子機器、ライフプロテクション、 代替エネルギー、バイオ素材などのグローバル市場において、顧客企業の業績向上・維持に貢献できる革新的な  ソリューションを提供します。年間の純売上高はおよそ100億ユーロで、NYSE Euronextに上場しており、社員数は24,500名です。

詳細については www.dsm.com をご覧ください。

備考

* オープニングの様子は、POET DSM Flickr Streamより画像をダウンロードいただけます。

映像素材はwww.poetdsm.com/libertymediaより入手可能です。

* 本リリースは2014年9月3にDSM社から発表されたプレスリリースを抄訳したものです。

将来予測に基づく記述

本プレスリリースには、将来予測に基づく記述が含まれています。これらの記述はDSM経営陣による現時点での期待、推定、予測、 および現時点で当社が入手可能な情報に基づいています。これらの記述には、予測が困難な特定のリスクと不確実性が含まれること から、DSMはその予測の実現については保証しません。また、DSMは本プレスリリースに含まれる記述を更新する義務を負いません。

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