ライフサイエンスとマテリアルサイエンスのグローバル企業であるDSM社(以下、DSM)は、世界で初めて高温対応のインテークマニホールド一体型水冷式インタークーラーのコア以外ほぼ全ての樹脂化に成功しました。同部品の主要素材は、日本でも発売している高機能樹脂Stanyl®Diablo OCD2100です。
Stanyl®Diablo OCD2100は、ダウンサイジングターボの導入で先行する欧州でターボエンジン向けに開発した高耐熱のポリアミド46の特殊グレードです。DSM独自の「ディアブロ・テクノロジー」で群を抜く長期 耐熱性を発揮し、ダウンサイジングターボ採用で発生する高温高圧の環境下でも使用が可能です。
製造拠点のグローバル化が進む日系自動車メーカーにあわせて、DSMはグローバルサプライチェーンを整えており、また横浜にあるジャパンテクニカルセンターを基点に、世界中の研究者の知見を用いながら密接に日本のお客様との用途開発を行うことができます。
世界で初めてコア部以外ほぼ全て樹脂化したインテークマニホールド一体型水冷式インタークーラーは、ダウンサイジングターボや金属代替による軽量化といった自動車業界のトレンドを受け、過給システムのリーディングカンパニーと共同開発したものです。DSMは、 Stanyl®Diabloを中心に素材となる高機能樹脂だけではなく樹脂部品開発のノウハウも提供しました。アルミニウム製に比べて40%軽量化されており、射出成形での製造によって組み立て工程を削減し部品全体のコストを削減したほか、安定した生産も実現しています。
Stanyl®Diablo OCD2100は、40%ガラス繊維強化と独自開発した熱安定剤(特許取得済み)の添加により、220℃から250℃の高温環境下で引張強度や耐圧性を長時間維持することができます。寸法安定性も高く、ガラス繊維強化を施しているにもかかわらず、表面が滑らかであることも特長です。また、高い溶着・バースト強度を誇り、異種材との溶着にも優れるため、例えば、高温部分を耐熱グレードで、低温部分を通常グレードでそれぞれ成形した後、各部品を溶着しインテークマニホールド一体型水冷式インタークーラーを製造することができ、コスト上昇を抑えながら高性能な製品を実現します。DSMはStanyl®Diabloと組み合わせる様々な特徴を持った高機能樹脂を揃えており、顧客企業の要望にあわせて最適な設計支援を行うことが可能です。
DSMでは、自動車の軽量化やパフォーマンス向上、環境負荷低減に貢献するこの度の樹脂製インテーク マニホールド一体型水冷式インタークーラーの開発は、DSMが掲げる理念 “Bright Science. Brighter Living.™” を体現するものであると考えています。
近年、自動車は高性能と環境低負荷の両立を目指し、多くの最先端技術が用いられています。特に、エンジンは技術革新が顕著で、ターボ搭載の1.5Lハイブリッドエンジンも登場するなど、ハイブリッドと並びダウンサイジングターボが注目を集めています。
環境規制強化に対応するためにより小型化されたダウンサイジングターボの内部はインテークマニホールドへの大量のEGRガスの影響もあって一部がより高温高圧になります。そのため、水冷式インタークーラーとエアインテークマニホールドとを一体化させたインテークマニホールド一体型水冷式インタークーラーの採用が拡大される傾向にあります。インテークマニホールド一体型水冷式インタークーラーは、エアーダクトが 短いためエンジンレスポンスが向上し、排ガス量を抑えつつ高性能を発揮するというメリットもあります。 しかしながら、従来のモデルでは、220℃から250℃の高温の空気を継続的に流すため高温高圧になることから素材の多くに金属が用いられており、軽量化や設計の融通性向上によるコンパクト化を目指して、 樹脂化が求められています。
DSMは、自動車エンジン周辺に用いる高耐熱性の熱可塑性プラスチックの開発におけるリーディングカンパニーで、標準的なポリアミドよりも高い耐熱性を発揮するStanyl®などの高機能樹脂を扱っています。さらに、DSMが開発した「ディアブロ・テクノロジー」(特許取得済み)によって製品を改良し、耐熱性能の長時間維持を可能にした「ディアブロ・シリーズ」も展開しています。Stanyl®やAkulon™ポリアミド6といった自社製品のほか、他社へのライセンス提供も行っています。
法律による排ガス規制や、自動車メーカーの燃費向上志向により、樹脂製のインテークマニホールド一体型水冷式インタークーラー」が世界中で使用されるようになることを予想しています。 Stanyl®Diablo OCD2100は、高耐熱性と溶着部の耐久性を兼ね備えている点で、競合製品よりも優れており、 今回の用途開発により、DSMはさらに安定したビジネスができると期待しています。
軽く、低環境負荷であると同時に長期にわたって高性能を発揮するエアマネジメントシステムの開発が、最新エンジンにおけるトレンドです。Stanyl®Diabloによって、この難しい目標を達成できることを、大変嬉しく思っています。
DSM – Bright Science. Brighter Living.™
DSM社は、科学をベースとして健康、栄養、材料分野で活躍しているグローバル企業です。ライフサイエンスとマテリアルサイエンスにおける独自の技術を組み合わせることで、経済的繁栄、環境問題への取り組み、そして社会の発展を促進し、DSMと関わる全ての人々にとって持続可能な価値を創造します。また、DSMは食品や栄養補助食品、パーソナルケア、飼料、ファーマシューティカルズ、医療機器、自動車、塗料、電気・電子機器、ライフプロテクション、代替エネルギー、バイオ素材などのグローバル市場において、顧客企業の業績向上・維持に貢献できる革新的なソリューションを提供します。年間の純売上高はおよそ90億ユーロで、NYSE Euronextに上場しており、社員数は24,500名です。
詳細については www.dsm.com をご覧ください。
* 本リリースは2014年7月17日にDSM社から発表されたプレスリリースを抄訳したものです。
将来予測に基づく記述
本プレスリリースには、将来予測に基づく記述が含まれています。これらの記述はDSM経営陣による現時点での期待、推定、予測、および現時点で当社が入手可能な情報に基づいています。これらの記述には、予測が困難な特定のリスクと不確実性が含まれることから、DSMはその予測の実現については保証しません。また、DSMは本プレスリリースに含まれる記述を更新する義務を負いません。